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2007年2月26日 (月)

東京マラソン完走―たくさんのありがとう

東京マラソンを走ってから、はや1週間が過ぎた。それなのに、自分の中にはまだ感動の余韻がずっしりと残っていて、それをうまく言葉に出来ない気がして、ずっとブログを書けずにいた。でも、もうまとまらなくてもいい、今の思いをそのまま書いてみようと思う。

(無駄に長い文章、お許しください。。。)

2007年2月18日。おおげさではなく、私にとっては運命の日と思えるくらい、緊張して目が覚めた。まだ真っ暗で、雨がざーざー降っている。天気予報では昼頃にやむはずだが、どうなのだろう・・・。不安をかかえつつ、ストレッチしながら上の空でおにぎりを食べる。

装備はとにかく温かく、長袖Tシャツにウィンドブレーカーもレインコートも着込んでお腹と腰に携帯カイロ、雨よけにキャップ(エキスポで買った東京マラソンキャップ)、サーモ手袋の下に使い捨てのビニール手袋。この保温装備が、ゴールまで私を守ってくれた。

新宿地下街はもう人人人・・・。かなり気温が下がっている。緊張からか、スタート前に3回もトイレに行く。ウィンドブレーカーのズボンを脱ごうかどうしようかと迷ったが、当初の予定のとおり、脱いでランニングタイツだけで走ることに決めた。時間に余裕があったので、荷物預けもスムーズにできた。

スタート地点に並んでも雨はやまない。かえって強く降りつける。3万人のランナーが、足踏みしたりその場で跳ねたりしながら、寒さに耐えてスタートを待つ。「こんな雨の中に1時間も整列してるなんて、かなり物好きじゃないとできないわよねー。」後ろに並んだベテラン女性ランナーたちがにぎやかに話している。あまりに寒いので気を紛らわせたくて、私もつい隣に並んだ男性ランナーに、「寒いですねー。早く走りたいですねー」と話しかけた。そのランナーさんは10kmレースを走るそうで、今まで2回フルマラソンに出たけれど2回ともリタイアしたこと、フルに出るとその後1週間は疲れから仕事にならないことなどを話してくれた。まわりの人たちとだんだん打ち解けながら、ひたすら時計を眺めて号砲を待つ。

号砲は聞こえなかったが、前のほうからのざわめきでどうやらスタートしたらしいことがわかった。さあ、出走だ!のろのろと西新宿のビル街を進む。都庁前には石原さんと河野さんが見送ってくれていて、これだけでもう感激して、ちぎれるほど手を振る単純な私。広い靖国通りに出たとたん、不安だった気持ちが全部吹っ飛んで、今ここを走っていることがうれしくて仕方なくて、涙が出てきた。ああ、私、絶対完走できる!スタートしたばかりなのに、なぜか確信した。

10km過ぎまではいいペース。集団の中で、終始楽しみながら、飯田橋、皇居、日比谷へと抜けていく。ところがここで、心配していた持病の膀胱炎が勃発。やっぱり来たか・・・、ボウコウ炎くん。。。仕方ない、これからの長い道中、君を連れて走ることにしよう。まずトイレを探さなくては。日比谷の仮設トイレにはすでに長蛇の列が出来ていた。雨に濡れながら並んで体を冷やしては、膀胱炎を悪化させてしまう。ここはとりあえずやめておき、第一京浜沿いのセブンイレブンに飛び込んだ。が、ここも6人ばかりのランナーが並んでいる。お店の人に、「20分以上はかかりますよ。この先に公衆トイレがありますから、そちらに行ってください。」とちょっと強い調子で言われてしまう。ぽたぽた水を垂らしながら店内に並んでいたら、迷惑なのももっともだ。すごすごとコースに戻るが、どうにも落ち着かなくてだめだ。11km地点で前のランナーが横道に入るのを見つけ、あとについて行くとファミリーマートがあった。ここにも6人ほどランナーがいたが、もう絶対ここでトイレに行こうと決めて、じっと待つ。並んでいる人たちと、今日は寒いことだとかお天気が思い通りにならないことだとか、膝が痛いとかお腹すいたとか、しばし歓談を楽しむ。結局このトイレで25分のタイムロス。

コースに戻ってみると閑散としている。あーあ、せっかくいいペースだったのに、仕方ない。ぼちぼちと走り出す。少し前を視覚障害者のランナーさんと伴走ランナーさん。抜くときに、「お先に~」と声をかけると、おふたりともニコニコして、「頑張りましょうね~」と応じてくれた。

品川を過ぎて、私の周りは早くもほとんどのランナーが歩いている。そういえば、コースに戻ってから誰にも抜かされていない。また気持ちよいペースを取り戻して、”アタックナンバーワン”の歌を歌いながら走る。♪苦しくったって、悲しくったって、レースの中では平気なの♪

品川を折り返してからしばらくして、対向車線にパトカーとはとバス(収容車)がやってきた。「最後尾の確認をしまーす。トイレに行っている競技者は、すみやかにコースに戻ってレースを続けてくださ~い。」 ・・・・げげ、ここって、限りなく最後尾に近いよ・・・・。一瞬焦るが、まあ第1回の大会で最後尾というのもなかなかできる体験ではないし、関門にさえ引っかからなければいいや、と開き直る。15km地点からはエイドにアミノバリューもなく、水だけだった。。。大丈夫大丈夫、ウエストポーチに粉末のアミノバリューとVAAMもあるし、飴もカーボショッツも梅干もある。すっかり開き直ってリラックス。沿道の応援に応えながら、ハーフ地点に向かう。

ハーフ地点到着。すでにスタートから3時間近くが経っている。1月に走った谷川真理ハーフのタイムよりずっと遅い。実は、私は練習でもレースでも、ハーフ以上の距離を歩いたことはあっても走ったことがない。ここからは未知の距離だ。気を引き締めて、脚の調子を確認すると、まだまだ大丈夫そうだ。よし、ここからも元気に行くぞー。

銀座を抜けて浅草に向かう。またトイレ。ここでは7分ほどのタイムロスで済んだ。まわりは立ち止まってストレッチする人、歩く人がどんどん増えてきた。それでも私の脚は元気に走っている。懸念の左膝も痛まない!結構やるじゃないの、私の脚。よしよし、その調子。いつの間にか、またランナー集団の中に入れるまでに追いついてきた。

とうとう浅草に到着。沿道で小さなお嬢ちゃんがお母さんと一緒に応援してくれていて、チョコレートパフを差し出してくれる。うれしいっ!「ありがとう!」と大きな声でお礼をいって、早速いただいたパフの美味しいこと。疲れてきた体に染み渡るようだった。またまた元気が湧いてくる。この先、沿道の応援の方々からいろいろな差し入れをいただいた。アーモンドチョコ、飴、クラッカーなどなど・・・。どれもこれも、即座に走るエネルギーに代わってくれて、感謝で一杯になる。沿道からいただいた食べ物には、なんだか特別の栄養がこもっているような気がした。自分のウエストポーチの補給食とは違う、渡してくれる人の「頑張って!」の気持ちがこもっているのだ。

こうしてみんなからエネルギーをもらいながら、いつの間にか2度目の銀座を過ぎ、またトイレに寄り、30km地点を過ぎ、35km地点にたどり着く。35kmの壁は本当にあるんだろうか・・・?ちょっと楽しみ、大いに不安をおぼえながらたどり着いた35km、まだ十分気は確か(?)だし、脚も動く、膝も痛くない!雨もやんで、お日様が顔をのぞかせている。重いレインコートをようやく脱ぎ捨て、さあゴールまであと7km、大切に走っていこう。頑張れば、まだグロスで6時間を切れそう。目の前には佃大橋がせまっている。ほとんどのランナーが歩いている。その中を、歩くようなスピードではあっても、小刻みにピッチを踏んで前に進む。ちょっと苦しい。でもすごく楽しい!

沿道の応援は減ってきたとはいえ、ボランティアさんが一生懸命声をかけてくれる。このマラソンで、どれだけのボランティアさんとハイタッチしただろう。何度バンザイをして応援に応えたのだろう。ずっとテンション高いまま、ときどき涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにしながら、とにかく前へ進んでいく。40km過ぎて、さすがに脚が痛くなってきた。できれば最後はビルトアップしようと思っていたけれど、とても無理そう。せめて同じペースを保っていこう。

目の前にビッグサイトが見えてきた。「もうゴールだぞ、頑張れ!」沿道の方々がしきりに声をかけてくれる。夢にまで見たフルマラソンのゴール。42.195kmをこの脚で走りきれたら、その向こうには一体何があるんだろう・・・ずっとそれが知りたかった。そして、ゴールして私が見つけたのは、このマラソンに関わってくれたみんなへの感謝、感激、感動、走りきった自分への誇り、今まで生きてこられてよかったという思い・・・。今までの人生で一番素敵なプレゼントを、私は東京マラソンからもらったのだ。タイムはすごく遅いけれど、一度も歩かずに、よくここまで走り通してきたね、私。よく頑張った、よくやった!えらい、えらいぞ、私。たくさんたくさん自分を褒める。

最後に改めて・・・・。寒い中支えてくださったボランティアの皆様、沿道の応援の皆様、ありがとうございました。なにもわからない私にブログやJogNoteを通じていろいろ教えてくれて、励ましてくれたランナー仲間の皆さん、走りきれたのは皆さんのおかげです。ありがとう、ありがとう。運動音痴で体も丈夫ではない私がフルを走ると決めてから、ずっと心配しながらも応援してくれた父と兄と妹、親友のみなちゃん、けいこさん、ゆかさん、ありがとう。

そしてなにより、ずっと見守ってくれて、当日は自宅ではらはらしながら応援してくれたオットとタロウさん。あなたたちは私の一番の宝物です。ありがとう。

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コメント

寒さと雨でたいへんな状況の中からのスタートだったことを感じさせない、走れることへの楽しさが伝わってきました。準備万端だったのもよかったのかも知れませんね。途中から足を引きずって歩いているのではと心配していましたが、初フルで歩かずしかも無事に完走したなんてすばらしいの一言です。マラソンは一人で走る競技ですが、たくさんの人に支えられて走っていることがとくにこの大会では感じられたと思います。今はまだ感動の余韻に浸りながらゆっくり休養して、次への鋭気を養ってください。読み応えのあるよい完走記でした。(文章の長さだけなら私も負けませんが^^;)
本当におめでとうございました。

投稿: iwanob | 2007年2月26日 (月) 13時25分

→iwanobさん
早速読んでくださったのですね、ありがとうございます!レース中、iwanobさんにいただいた数々のコメントも頭に浮かびました。いろいろな人のことを思いながら、いろいろに勇気付けられた42.195kmでした。いつか、一緒のレースを走れたらいいですね!

投稿: June | 2007年2月26日 (月) 18時02分

あーもうダメー。
いろんな方の完走記を拝見しては、涙がこみ上げてしまいます。
Juneさんの42.195kmもとても素敵な旅でしたね。
1歩も歩かなかったなんてすごい!
沿道の応援からたくさん力をもらって、めいっぱい楽しみながら走れて本当によかったです。
これからもJuneさんだけのストーリーを作っていってくださいね!

投稿: みなみ | 2007年2月26日 (月) 20時59分

こんにちは、kownと申します。
友人が東京マラソンに出、走り終わって
1週間経ってるのにまだ興奮しています(^_^;)。
とても臨場感あふれる文章、楽しませていただきました。
今後も完走記楽しみにしています。

投稿: kown | 2007年2月26日 (月) 21時01分

私のブログに(勝手ながら)こちらのリンクを張らせていただきました。これからもヨロシクです!

投稿: みなみ | 2007年2月26日 (月) 21時01分

初めてホノルルでフルマラソンを走ったときの事を思い出してしまいました。つらかったなぁ。でも、ゴール直前で「このままでは終わりたくない。アスリートになりたい!」って思ったのでした。ボロボロの脚を引きずりつつ...
あの感動、感情は、きっと一生忘れないだろうなと思います。
Juneさん、お疲れ様!そして、また走り始めましょう。

投稿: マカニ・トモ | 2007年2月26日 (月) 21時23分

→みなみさん
長い文章を読んでくださってありがとうございます!本当に楽しい、素敵な旅をさせてもらいました。それぞれのランナーに、誰にも負けない完走のストーリーがあるのでしょうね。ますますランニングにはまってしまいそうです。また一緒のレースを走りたいですね!
また、リンクを張っていただいてありがとうございます。みなみさんの素敵なサイトとリンクできてうれしい限りです!

→Kownさん
初めまして!コメントをありがとうございます。東京マラソン、本当に楽しかったですよ。今度はぜひKownさんも参加してみてください。たくさんのものを得られます。私が保証しちゃいます!

→マカニさん
初めてのフルマラソン、それぞれに特別な思い出ができるのですね。私は今回、全然つらいと感じたことはなかったのですが、もしうんとつらくても、やっぱり感動は同じだっただろうと思います。「アスリートになりたい!」っていうマカニさんの思い、着実に実行なさって、今ではすっかりアスリートになっていらっしゃいます。マカニさんのそんなところを、とても尊敬しています。

投稿: June | 2007年2月27日 (火) 13時37分

だめだ~~Juneさんのブログ読んでたらまたまた
感動してしまって涙が、出ちゃいます
まだまだ興奮の中にいます。
今回私は本当に苦しかったけど楽しかったし
感動できたのがとても私の宝になってます
途中で足の痛みとはいえ歩いてしまったのが心残り
次にフルマラソンを走るときは走ってゴール
したいです

しかしJuneさんの防寒対策完璧ですね(^^)v
さすがです!
ではまたお邪魔します(^0^)/


投稿: moko | 2007年2月27日 (火) 13時48分

→mokoさん
私も1週間以上経った今でもまだまだ興奮状態です。1万円の参加料でこれだけ長く楽しめてよかった?! mokoさんも大きな宝物を得たのですね。足のほうが良くなられたら、また一緒に次の目標に向けてスタートしましょう☆ 歩かず完走は次のお楽しみですね。

投稿: June | 2007年2月27日 (火) 14時17分

Juneさん、こんばんは。
完走記読ませていただきました。
いや~、頑張りましたね。
雨で寒い中、歩くことなく完走されるとは尊敬しちゃいます。
私は身体に不安がありますが、Juneさんが経験された感動を少しでも味わいたいです。
暖かくなったら、本格的に走りたいと考えています。
よし、走るぞ。

投稿: マーサー | 2007年2月27日 (火) 20時40分

はじめまして、スッターマンといいます。
私も東京マラソン走りました。
そしてJuneさんの完走記を読んでまたあの感動を思い出しました。寒かったけど熱かったレースですよね。
こんなに寒いのに、ましてや走っていない沿道の皆さんはもっと寒いだろうに、いっぱい元気をもらえましたね。
3万人の、3万通りの感動があると思うとやはりすごいレースだったんだと思います。走れて本当に良かったです。
またブログ読ませていただきます。

投稿: スッターマン | 2007年2月28日 (水) 00時17分

Juneさん、改めて完走おめでとう!!

完走記を読むとまるで一緒に走っているような気持ちになり、あの感動が蘇ってきます。素晴らしい完走記をありがとうございました。

Juneさんは体調のこともあって辛いレースになったことでしょう。でも一歩も歩くことなく笑顔でゴールされたことが一生の宝物になりましたね。自分が頑張ったことは勿論、色んな人に応援を受け、励まされ、力を貰ったこともこのレースの素晴らしさでした。しみじみ。Juneさんと見たレース後の夕陽は本当に綺麗でした。

その後、体調はいかがですか。膀胱炎は冷えが一番の敵と聞きます。レースの疲れもあることでしょうし、ゆっくり養生なさってくださいね。

投稿: 京丸 | 2007年2月28日 (水) 08時59分

→マーサーさん
長い文章を読んでくださって、ありがとうございます!あの感動のほんの一端でも伝えられたのなら、書いた甲斐もあるというものです。マーサーさんもどうぞお体の具合を見ながら、無理のない範囲で走ってくださいね。私も胃が1/3しかなくても完走できたし、「案ずるより産むが安し」かなぁ、なんて思っています。

→スッターマンさん
初めまして!東京マラソンを一緒に走ったランナーさんはなんだか他人と思えなくて、もう兄弟くらいに思っちゃいます。本当にいい大会でしたね。スッターマンさんのブログも早速拝読させていただきました。北海道マラソンに向けて頑張ってくださいね!また訪問させていただきます。

投稿: June | 2007年2月28日 (水) 09時03分

→京丸さん
ありがとう!「完走おめでとう」って何度言っていただいてもうれしくて、そのたびに感動がよみがえります。レース中、今この中を京丸さんもみなみさんも一緒に走ってるんだ、たくさんの仲間が走ってるんだ、と何度も思って勇気をもらいました。ハーフマラソンではあまり感じないけれど、フルでは特に「いろいろな人の力をもらって走っている」ことをすごく実感しました。
京丸さんと見た夕陽は私にとって、ランニングの神様からのご褒美、素敵な時間を共有できて幸せでした。
京丸さんも次の大きな目標に向かってスタートなさったことだし、私もまた頑張りますよー。

投稿: June | 2007年2月28日 (水) 09時21分

Juneさん、
遅くなりましたが、じっくり読ませていただきました。。。3万人の個々のドラマがあり、個々の感動があり、でも、それが一体になったとき、あのうねりのような感動が押し寄せてくるのかもしれません。。。
また、鮮明に、感動がよみがえってきました。。。ご一緒できたことを、本当にうれしく思います。。。また、どこかの大会で時間を共有したいですね。

投稿: iyashi | 2007年3月 1日 (木) 00時57分

→iyashiさん
読んでくださってありがとうございます。今になってみても、あの大会は本当に特別素晴らしかったなぁ、としみじみ。出走が危ぶまれたiyashiさんも無事に完走なさってよかった!またどこかの大会で、感動を共有したいですね。次の機会を楽しみにしています。

投稿: June | 2007年3月 1日 (木) 13時41分

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